【アドベンチャーゲームレビュー】「ひぐらしのなく頃に」は名作か?
すみません、これもだいぶ前に書いてずっと手元で放置してたので、
今となっては、なんか機を逸してるかもしれません。。。
でもせっかく書いたので、掲載します。
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まず最初に、『ひぐらしのなく頃に』のうち、私がプレイした(見た)のは、
PC版の全作品と、漫画版のみです。
その前提での感想です。
私が、この作品をプレイし始めたのは、
ちょうど鬼隠し編の無料ダウンロードが始まった頃です。
それからは、年2回作品が発売されるのを楽しみに待って、
出るや否や購入してプレイし続けました。
『一通り遊んでみて、楽しかったか?』と聞かれれば、『楽しかった』と答えられます。
娯楽作品として、とても楽しめたと思います。
ただ一方で、ひぐらしが『名作である』と言われることには、
なんとなく違和感を感じています。
この違和感の芽が出たのは、目明し編をやったあたりからです。
確かに、退屈はしなかったんですけど。。。
なんか、味付けが濃すぎる感じがしたんですよね。
具体的に言うと、露悪趣味的な描写が少し気になったのです。
で、その後、皆殺し編とか経て最後までやってみたのですけど、
露悪趣味的な残酷描写は加速し、おまけに仰々しい人間賛歌的な台詞とかも出てきて
その違和感は、ますます大きくなりまして。。。
毎回購入して遊びましたが、最後までプレイした後、
けっきょく全て中古店に売り払ってしまいました。
『これは歴史に残る作品ではない』と思ったので。。。
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ひぐらし自体は、確かに楽しかったです。
でもやはり、一番楽しかったのは、「鬼隠し編」だったな~と思うのです。
強いて言っても「綿流し編」あたりまでで、
それ以降は、楽しい反面。。。なんかこう。。。
お化け屋敷のチープな作り物を、明るいところで見てしまったような
そんな軽い失望感が、徐々に湧き出てくる感じがしました。
ひぐらしの楽しさって、けっきょくのところ
「ムーブメントに参加できたこと」ということなんではないでしょうか。
謎が提示されて、年に2回、新しい作品が出て、そのたんびに、
ああでもない、こうでもないと、議論され。。。
「その熱い数年間の体験を共有できたこと」、
それがひぐらしへの思い入れにつながっているのではないかなと。
だから、作品としてはB級だと思いますし、20年後も残っている作品だとは思いません。
たまに、『心理描写が良く出来ている』という感想も聞きますが、
ただ単に、「大げさに仰々しく描いたため、分かりやすい」という
だけではないかと思うのですよね。
ギャルゲー臭・残酷描写・友情の大切さ
これらを仰々しく描くことで落差を強調するやり方は、
例えるならば、味付けの濃いスナック菓子のようなものだと思うのです。
確かに分かりやすい味付けで美味しいのですが
しょせんは本物の料理のように人の心をうつものではないと思いますし
たくさん食べれば、飽きてしまうと思うのです。
でもだからといって、存在価値が無いかというと、そうではなくて
高級な京都懐石よりも、スナック菓子を食べたいという気持ちになる時だってあるわけで、
大量消費型の娯楽商品として、ニーズは確実にあると思います。
歴史に残る作品と、使い捨てされる消費財、
どちらが優れて、どちらが劣っているわけでもないと思います。
お互いに、存在意義があるのですから、
各々の存在意義を全うしていけば、それでいいと思うのです。
使い捨ての娯楽として、いずれは消えていく作品だと思いますが、
娯楽エンターテイメントとしては、
確かに間違いなく一時期のムーブメントになった作品だと思いますし
作品としては残らなくても、
「こういうムーブメントがあった」という歴史としては残るかもしれません。
なので、『ひぐらしは名作か?』と聞かれれれば
私は、『名作ではない』と思います。
でも、『楽しかった』と思います。
一時期、間違いなくハマりましたし、時間を無駄にしたとは思っていません。
『楽しいひと時をありがとう』という感じです。
そして、私の心に何も残すこと無く、忘れ去られていきます。
それでいいと思うのです。あくまで、娯楽品だと思いますので。
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